CSR調達(購買活動の基本的な考え方)

CSR調達(購買活動の基本的な考え方)

目次

  1.  はじめに
  2.  CSR推進ガイドブック
  3.  第1部 行動規範 1 法令遵守・国際規範
  4.  2 人権・労働
  5. 3 労働安全
  6.  4 環境
  7.  5 腐敗防止
  8.  6 品質・安全性
  9.  7 サイバー攻撃に対する防御
  10.  8 事業継続計画
  11.  第2部 管理体制の構築

はじめに

 近年、企業活動のグローバル化や情報社会の成熟化の進展など、企業を取り巻く環境は多様化し、かつ大きな変化があります。

 一方、社会全体に目を向けると、企業不祥事の多発や、不誠実な企業活動に対する厳しい批判も目立ってくるなど、持続可能な社会の形成に向けた企業の取組みへの関心も高まっています。

 このような社会環境下において、サンケングループでは、日本及び海外でグローバルに事業を展開していくうえにおいて、「経営理念」「経営信条」を具体化した「行動指針」「サンケンコンダクトガイドライン」に基づき、法律や社会規範を遵守し、お取引先さまとの相互協力、信頼関係を築くよう努めるとともに、企業の社会的責任(CSR:Corporate Social Responsibility)を果たす取組みを積極的に推進しています。

 当社では、これまで資材購買活動における「基本的な考え方」「具体的な取組み」「お取引先さまへのお願い事項」を定め、資材購買先のお取引先さまにご協力をお願いしてまいりました。
CSRの推進にあたっては、事業プロセスに関わる全てのお取引先さまを含めたサプライチェーン全体でCSRに取り組むことが社会的な要請として求められております。

 この社会的な要請に応えていくためには、お取引先さまに当社のCSRに対する考え方にご理解いただくとともに、これまで以上のご協力をお願いしていく必要があると考え、今般、「基本な考え方」を具体化し、サンケングループのサプライチェーンCSR推進について、「サンケングループサプライチェーンCSR推進ガイドブック」(以下、本ガイドブックといいます。)として、取りまとめました。

 今回CSRに関する社会的要請拡大を踏まえ第4版を作成いたしました。
お取引先さまにおかれましては、本ガイドブックで解説する各項目について、ご理解をいただくとともに、サプライチェーンCSR推進により一層積極的に取り組むことをお願いいたします。

*本ガイドブックは、社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)が2020年3月に制定した「責任ある企業行動ガイドライン」に準拠して作成しています。

CSR推進ガイドブック

言語 PDF
CSR推進ガイドブック 日本語 CSR推進ガイドブック
(PDF:748 KB)
English CSR Promotion Guidebook
(PDF: 408KB)
中文 CSR推进指南
(PDF: 992KB)

 2 人権・労働

 企業は、関連法規制を遵守することのみならず、ILO 中核的労働基準を含む国際的な人権基準を参照し、労働者の人権を尊重する必要があります。

(2-1)強制的な労働の禁止

 企業は、強制、拘束、非人道的な囚人労働、奴隷制または人身売買によって得られた労働力を用いることはできません。また、企業はすべての就業を強制することなく、労働者の離職や雇用を自ら終了する権利を守る必要があります。

(2-2)児童労働の禁止、若年労働者への配慮

 企業は、最低就業年齢に満たない児童に労働をさせてはなりません。また、企業は、18 歳未満の若年労働者を夜勤や残業など、健康や安全が損なわれる可能性のある危険業務に従事させてはなりません。

(2-3)労働時間への配慮

 企業は、労働者の働く地域の法規制上定められている限度を超えて労働させてはならず、国際的な基準を考慮した上で労働者の労働時間・休日を適切に管理する必要があります。

(2-4)適切な賃金と手当

 企業は、労働者に支払われる報酬(最低賃金、残業代、および法的に義務付けられた手当や賃金控除を含む)に、適用されるすべての法規制を遵守する必要があります。
また、生活に必要なものを賄うことのできる水準の賃金(生活賃金)の支払いに配慮することが望まれます。

(2-5)非人道的な扱いの禁止

 企業は、労働者の人権を尊重し、精神的・肉体的な虐待、強制、ハラスメントなどの非人道的な扱い、ならびにそのような可能性のある行為を労働者に行ってはなりません。
また、個人的な所有物や貴重品を保管できる設備、および適切に出入りできる十分な広さの個人スペースを確保する必要があります。

(2-6)差別の禁止

企業は、差別およびハラスメントを行ってはなりません。また、労働者からの宗教上の慣習に関わる要望に対して、適切な範囲で配慮する必要があります。

(2-7)結社の自由、団体交渉権

 企業は、現地の法規制を遵守した上で、労働環境や賃金水準などの労使間協議を実現する手段としての労働者の団結権を尊重する必要があります。

 3 労働安全

 企業は、関連法規制を守るのみならず、ILO の安全衛生ガイドラインなどに留意し、労働者の業務に伴う怪我や心身の病気を最小限に抑え安全で衛生的な作業環境を整える取り組みを行う必要があります。

(3-1)労働安全

 企業は、職務上の安全に対するリスクを特定・評価し、また適切な設計や技術・管理手段をもって安全を確保する必要があります。
特に妊娠中の女性および授乳期間中の母親への合理的な配慮が必要です。

(3-2)緊急時への備え

 企業は、人命・身体の安全を損なう災害・事故などの緊急事態に備え、発生の可能性も含めて特定し、労働者および資産の被害が最小限となる緊急対策時の行動手順の作成、必要な設備などの設置、災害時にその行動がとれるように教育・訓練を行う必要があります。

(3-3)労働災害・労働疾病

 企業は、労働災害および労働疾病の状況を特定・評価・記録・報告し、適切な対策および是正措置を講じる必要があります。

(3-4)産業衛生

 企業は、職場において、有害な生物的・化学的・物理的な影響に労働者が曝露するリスクを特定・評価し、適切な管理を行う必要があります。

(3-5)身体的負荷のかかる作業への配慮

 企業は、身体的に負荷のかかる作業を特定・評価のうえ、労働災害・労働疾病につながらないよう適切に管理する必要があります。

(3-6)機械装置の安全対策

 企業は、労働者が業務上使用する機械装置について安全上のリスクがないか評価し、適切な安全対策を実施する必要があります。

(3-7)施設の安全衛生

 企業は、労働者の生活のために提供される施設(寮・食堂・トイレなど)の安全衛生を適切に確保する必要があります。また、寮では、緊急時の適切な非常口を確保する必要があります。

(3-8)安全衛生のコミュニケーション

 企業は、資源の枯渇や気候変動、環境汚染などの地球環境問題に積極的に取り組むとともに、関係する地域の人々の健康と安全の確保を考慮した地域の環境問題に配慮する必要があります。

(3-9)労働者の健康管理

 企業は、全ての従業員に対し、適切な健康管理を行う必要があります。

 4 環境

 企業は、関連法規制を守るのみならず、ILO の安全衛生ガイドラインなどに留意し、労働者の業務に伴う怪我や心身の病気を最小限に抑え安全で衛生的な作業環境を整える取り組みを行う必要があります。

(4-1)環境許可と報告

 企業は、事業の所在地の法規制に従い、事業に必要な許認可・承認を取得し、登録・報告を行う必要があります。

(4-2)エネルギー消費および温室効果ガスの排出削減

 企業は、エネルギー効率改善に努め、エネルギー消費量および温室効果ガス排出量の継続的削減活動に取り組む必要があります。

(4-3)大気への排出

 企業は、関連する法規制を遵守し、有害な物質の大気への排出を削減するための適切な対策を実施する必要があります。

(4-4)水の管理

 企業は、法規制を遵守し、使用する水の水源、使用、排出をモニタリングし、節水する必要があります。
あらゆる廃水は、排出または廃棄する前に、必要に応じて特性を示し、監視、制御、処理を実施することが必要です。
また、水汚染を発生させる可能性のある汚染源を特定し、適切な管理を行う必要があります。

(4-5)資源の有効活用と廃棄物管理

 企業は、法規制を遵守し、適切な管理を行うことにより、リデュース(削減)、リユース(再利用)、リサイクル(再資源化)を推進し、資源の有効活用を図り、廃棄物の発生を最低限に抑える必要があります。

(4-6)化学物質管理

 企業は、法規制を遵守し、人体や環境に対して危険をもたらす化学物質およびその他の物質は、特定、表示、および管理を行い、安全な取り扱い、移動、保存、使用、リサイクルまたは再利用、および廃棄が確実に実施されるよう管理する必要があります。

(4-7)製品含有化学物質の管理

 企業は、製品に含まれる特定の物質の使用禁止または制限に関して適用される、すべての法規制および顧客要求を遵守する必要があります。

 5 腐敗防止

 企業は、法令遵守のみならず、高い水準の倫理感に基づき事業活動を行う必要があります。

(5-1)汚職・賄賂などの禁止

 企業は、あらゆる種類の贈収賄、腐敗、恐喝、および横領などを行ってはなりません。

(5-2)不適切な利益供与および受領の禁止

 企業は、賄賂その他の不当または不適切な利益を得る手段としての約束、申し出、許可を提供または容認してはなりません。

(5-3)適切な情報開示

 企業は、適用される法規制と業界の慣例に従って、労働、安全衛生、環境活動、事業活動、組織構造、財務状況、業績に関する情報を開示する必要があります。記録の改ざんや虚偽の情報開示は容認されません。

(5-4)知的財産の尊重

 企業は、知的財産権を尊重し、技術やノウハウの移転は、知的財産が守られた形で行う必要があります。また、顧客およびサプライヤーなどの第三者の知的財産も保護する必要があります。

(5-5)公正なビジネスの遂行

 企業は、公正な事業、競争、広告を行う必要があります。

(5-6)通報者の保護

 企業は、通報に係る情報に関する機密性、並びに通報者の匿名性を保護し、通報者に対する報復を排除する必要があります。

(5-7)責任ある鉱物調達

 企業は、製造している製品に含まれるタンタル、錫、タングステン、および金などの鉱物が、紛争地域および高リスク地域で深刻な人権侵害、環境破壊、汚職、紛争などを引き起こす、またはそれらに加担していないかのデュー・ディリジェンスを実施する必要があります。

 6 品質・安全性

 企業は、提供する製品やサービスの安全性ならびに品質の確保を行い、正確な情報を提供する必要があります。

(6-1)製品安全性の確保

 企業は、製品が各国の法令などで定める安全基準を満たし、十分な製品安全性を確保できる設計・製造・販売を行い、供給者としての責任を果たす必要があります。

(6-2)品質管理

 企業は、製品・サービスの品質に関して適用される、すべての法規制を遵守するのみならず、自らの品質基準、顧客要求事項を遵守する必要があります。

(6-3)正確な製品・サービス情報の提供

 企業は、製品・サービスに関する、正確で誤解を与えない情報を提供する必要があります。

 7 情報セキュリティ

 企業は、機密情報や個人情報の漏洩を防止し、情報セキュリティの強化を図る必要があります。

(7-1)サイバー攻撃に対する防御

 企業は、サイバー攻撃などからの脅威に対する防御策を講じて、自社および他者に被害が生じないように管理する必要があります。

(7-2)個人情報の保護

 企業は、サプライヤー、顧客、消費者、従業員など全ての個人情報について、関連する法規制を遵守し、適切に管理・保護する必要があります。

(7-3)機密情報の漏洩防止

 企業は、自社のみならず、顧客や第三者から受領した機密情報を、適切に管理・保護する必要があります。

 8 事業継続計画

 企業は、大規模自然災害などによって自社もしくは自社の取引先が被災した場合に、自社が供給責任を果たすために、いち早く生産活動を再開できるよう準備する必要があります。

(8-1)事業継続計画の策定と準備

 企業は、事業継続を阻害するリスクを特定・評価し、事業への影響の精査と中長期的に必要な事前対策、その取り組み状況をまとめた事業継続計画(BCP)を策定することが必要です。

第2部 管理体制の構築

A マネジメントシステムの構築

 企業は、第1部行動規範の遵守を実現するために、マネジメントシステムを構築する必要があります。

B サプライヤーの管理

 企業は、第1部行動規範の要求事項をサプライヤーに伝達し、サプライヤーの規範の遵守を監視するプロセスを構築する必要があります。

C 適切な輸出入管理

 企業は、法令などで規制される技術や物品の輸出入に関して、明確な管理体制を整備して適切な輸出入手続きを行う必要があります。

D 苦情処理メカニズムの整備

 企業は、自社およびサプライチェーンの不正行為を予防するため、労働者やサプライヤーなどを含むステークホルダーが利用可能な苦情処理メカニズムを構築する必要があります。

E 取り組み状況の開示

 企業は、本ガイドラインに対する取り組み、および関連する法規制に基づく情報開示を行う必要があります。

以上