入社2年目のことでした。ある日突然上司と面談することになり「海外で働いてみないか」と打診されたのです。行く先はグループ会社のスコットランドの拠点。オフィスはエジンバラです。まだ新入社員気分の抜けなかった私にとってそれは、あまりにも想像を超える話でした。「モータ制御についてバックグラウンドのある人材を」というのが先方の要望で、それで私に声がかかったとのことです。驚きましたが、海外で仕事をする絶好のチャンスでもあり、多様な価値観に触れてみたいとの思いもあって、ためらうことなく「行きます」と返事をしました。若手にチャンスを与え、チャレンジさせてくれる、サンケン電気ならではのカルチャーを感じました。
スコットランドに飛び立った私に与えられたミッションは、サンケン電気とグループ会社との橋渡し。両社が互いの理解を深め、技術協力する環境を整えることで、より競争力ある製品の開発につなげたいというのがその狙いでした。英語があまり得意ではなかったので当初はコミュニケーションには苦労しました。しかし環境に慣れるに従って英語も上達。10以上もの国籍の異なるエンジニアが集まる中で働くうちに、多様な価値観を認め合う度量や広い視野が身についていきました。当初は3年の予定でしたが、自ら申し出て延長してもらい、赴任期間はトータルで6年半にも及ぶことに。20代の後半のほとんどをエジンバラで過ごしたことになります。人生で最も得がたい経験となりました。
現地では製品の機能評価やお客様からの技術的なお問い合わせへの対応などに従事しました。帰国後は、モータ制御機能を備えたパワーICの開発に携わっています。海外で担当した半導体回路の評価と、大学で携わったモータの研究という、この二つの経験を活かせる仕事であることにやりがいを感じています。入社2年目という若さで海外に挑戦させてもらったお返しに、今後はサンケン電気社内で存在感を発揮できるようにならなくてはなりません。誰からも信頼されるエンジニアを目指して、自分を磨いていきます。そしていずれはチームをマネジメントする立場となり、大規模な開発プロジェクトに挑戦したいと思います。