2008年9月3日

業界初、インバータ回路等の実機での動作に成功
シリコン基板ノーマリオフ型GaN FET
超低損失(オン抵抗50分の1)、高耐圧(800V)を実現

 サンケン電気株式会社は、高品質なGaN(ガリウム・ナイトライド:窒化ガリウム)結晶を、シリコン基板上に厚く成長させる独自の成長技術と、新たなデバイス構造を採用することで、ノーマリオフ型(*)のGaN FET(フィールド・エフェクト・トランジスタ)を開発し、これを用い、業界初となる、電源回路での実機動作に成功しましたのでお知らせします(特許:41件)。弊社では今後、さらなる性能向上と応用技術の開発を進め、早期の製品化を目指します。
*ノーマリオフ型:ゲートに電圧を印加していないときは電流が流れない半導体素子。一方、ゲートに電圧を印加していないときにも、電流が流れる半導体素子はノーマリオン型と呼ばれる。ノーマリオフ型は従来のシリコンMOS FETと同様に動作するので使用しやすいが、GaN FETでは構造上実現が困難だった。
1. 開発の経緯
   GaNは絶縁破壊電界強度(*)がシリコンに比べて約10倍と高く、高耐圧の次世代パワーデバイスの材料として期待されています。通常、GaNを使用したデバイスの基板には、サファイア、SiC(シリコンカーバイト:炭化珪素)などが用いられていますが、これらの基板は非常に高価なため、製品の低コスト化が図れません。
*絶縁破壊電界強度
素材に電圧を印加した際、絶縁破壊を起こす最大電界強度。同一の耐圧を持つ半導体素子を作製する場合、この絶縁破壊電界強度が大きいと素材を薄く出来、抵抗が低減し、素子の低損失化が図れる。
 そこで弊社では、従前より、これらに替わる新たな素材として、安価でかつ大口径化や加工が容易なシリコン基板を用いることに着目して研究開発をすすめてきました。
 シリコン基板上にGaN結晶を厚く成長させるのは非常に困難ですが、独自の成長技術と新たなデバイス構造を採用することで、ノーマリオフ型の超低損失・高耐圧(800V)のGaN FETを開発、さらに、業界初となるインバータ回路での実機動作に成功したものです。
なお、このたびはGaN FETと同時に、高耐圧(800V)のGaN SBD(ショットキバリアダイオード)についても開発を終え、PFC(力率改善)回路において実機動作が成功しております。
 
2. 特徴
  <GaN FET>
  • 低オン抵抗3mΩcm(シリコンMOS FETの50分の1)
  • 高効率・低ノイズ
  • チップサイズの小型化が可能
  • <GaN SBD>
  • 高耐圧800V
  • 低VF
  • 低導通損失、低スイッチング損失
  •  
    3. 最適な用途
      ・大型FPD-TV ・スイッチング電源 ・インバータ(エアコン、産業用モータ)
    ・UPS(無停電電源装置) ・直流電源装置 ・電気自動車、ハイブリッド車 など
     
    4. 概要
      <GaN FET>
    (1) 新デバイス構造(*)を採用することでノーマリオフ化を実現。
    *基板に掘り込みを入れ、ゲート電極のp型半導体を形成する構造。
    (2) 耐圧:800V、しきい値電圧:1.0V、オン抵抗:3mΩcm
    (3)

    GaN SBDを同一チップ上に形成も可能。

    (4) TO-3PF相当パッケージに搭載した場合、耐圧:800V、オン抵抗:10mΩ以下が可能。

    <GaN SBD>
    (1) 新デバイス構造(*)を採用することでVFを従来に比べ0.5V低減。
    *基板に掘り込みを入れ、バリア金属と二次元電子ガスを直接接触させる構造。
    (2) 耐圧:800V。
    以上
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